福岡天神のエリアマネジメント組織「We Love 天神協議会」が主催する会員セミナー&交流会が、先日ピエトロセントラーレ(本店)で行われました。今回のテーマは、今まさに進んでいる『天神ビッグバン』について。いよいよ本格化し、大転換期を迎える天神の今後について熱いお話しを聞く事ができましたよ。
今回のセミナーのゲストは右から、木村貴之さん(西日本新聞社 編集局報道センター クロスメディア報道部)、小川裕子さん(ラブエフエム国際放送株式会社 営業企画本部営業部部長)、榎本拓真さん(Local Knowledge Platform LLC Executive Director)。そして、司会進行役は、福岡テンジン大学 学長の岩永真一さん。皆さん天神で働く、エブリデイ天神ワーカー。つまり、日々刻一刻と変わる天神の街を見つめてきた方々なのです!
セミナーの最初にWe Love 天神協議会の事務局長 蔵田隆秀さんからの挨拶がありました。
藏田さん「福岡市が推進し、2024年までにビル30棟を建て替えるプロジェクト『天神ビッグバン』がいよいよ本格化してきました。将来の天神を考えると、期待で夢が膨らみますが、不安がないわけではありません。2月11日に閉店した天神ビブレに続き、3月末に天神コア、来年夏にはイムズも閉店することで、若い人たちが減らないか心配になります。将来の天神の発展を思い描く一方で、天神の賑わいをどう維持していくか。WLTと福岡市は官民連携で賑わい創出を目指すプロジェクトチームを立ち上げたところですが、天神の明るい未来を目指し、皆さまと一緒に考える場になればと存じます。」
岩永さん「福岡市の試算では、天神ビッグバンで延べ床面積は約1.7倍、雇用者数は約2.4倍にアップし、経済波及効果は年約8500億円に。ビッグバンの期待と不安について、記者としてどんな視点で見られていますか?」
木村さん「昨年秋から天神再開発を取材して気になったのは、防音パネルに囲まれた工事現場の広さ。ここには誰も入れず、景色も殺風景な空白エリアです。計算してみると、そんな空白が最大4ヘクタール超に達することが分かりました。今春に天神ビブレ、天神コア、来夏にイムズが閉館すれば商業的な空白も拡大。1月、こうした「空白」に視点を置いて記事を書きました。試算で示されるのは事業完了後。しかし、途中の空白はいろんなロスをもたらしそうです。」
↑実際に木村さんが書かれた1月22日の西日本新聞の朝刊の記事
公開空地を含む公共スペースを活用した賑わい創出を目指すWLTの動きを紹介。今後、工事エリアが拡大しても、天神の集客力を低下させないための努力が問われそうです。
―天神コアがなくなると困ると嘆く中学一年生の娘―
岩永さん「空白は消費としてもありますが、天神で働く人も減ることになりますよね。天神で働く人が減ることでどんな影響があるかなど、どのように思っていますか?」
小川さん「そもそも、危機感を感じ始めたのは娘のある発言からでした。『コアが無くなったら、どうしたらいいと?どこで遊べばいいと?』と、休みの度に天神コアへ出掛け天神コアが大好きな中学一年の娘からの言葉がありました。
実際に、弊社でも商業施設が工事に入ることで天神の魅了が減少し、弊社が管理しているスペースなどのイベントが減った場合の想定をして議論を始めています。」
岩永さん「歩いて楽しい街、天神。歩くスペースがなくなると景観が消え魅力が落ちるのではないか?今泉、大名、西中洲エリアの飲食店への流出現象など、そんなお話しは聞こえてきていたりしますか?」
小川さん「ランチ難民が増えているといった話はすでに聞こえてきていて、福岡市役所で働く方など、天神コアやビブレに近いので、特に影響があるのではないかと聞いた事があります。」
―工事期間中、天神に来る人は減るのか?―
岩永さん「実際に天神で働く人が減ると、天神に行く機会が減って、天神の”今”を知るキッカケが減ってしまう。小川さんの娘さんに当てはめると4年後、高校生になった娘さんは天神に戻ってくると思いますか?」
小川さん「それに対して手は打っています。大切なことは、天神コア、ビブレ、イムズが無くなるけど、でも、ここがあるよ。でも、他にもこんな楽しめる所があるよ。天神って色々あるよ。を提示することが大切だと思います。
天神は、連携する『we』があると思います。みんなで天神を盛り上げましょう、という思いを持って取り組めば解決できるのではないかと考えています。」
岩永さん「榎本さんは、フリンジパーキングも手掛けられていますが、来街者はこの数年間で減る可能性はあると思いますか?」
榎本さん「すでに、渡辺通りは混んでいるようで、交通量は実は少しづつ減っています。福岡地所さんの(仮称)天神ビジネスセンターの工事前の建物が閉まったタイミングで自転車の流入台数が減っていたり。個人的に感じているのは、昨春の福ビル営業終了後、明治通りと渡辺通りが交差する角の歩道部分が、歩行者が減ったことで曲がりやすくなったことです。(以前は、人とぶつかるよな混雑具合だったのですが)」
―2024年まで天神の魅力をどう引き継ぐか?―
榎本さん「諸先輩方の天神の想い出について話を伺うと、小さい頃はプリンスのナポリタンを食べ、岩田屋の屋上の遊園地で観覧車に乗って、その下の食堂でクリームソーダを飲んだ、なんて話を聞いていて。やはり、人から人へ魅力を伝えることも必要。
一時的に空白になっても、公開空地や歩道を使って、都心の都会っぽさを保ちながら次の天神に生まれ変わるまでの期間を繋げることが大事ですよね。」
木村さん「4年後、天神は激変します。街の景色、商業施設の構成、企業のレイアウト、人の流れ、働き方…。街の機能そのものもガラリと変わり、今のうちに変化に備えなければならなくなる。そこで大事なのは歴史を見つめ直すこと。特に戦後の天神です。天神は戦争で焼けました。しかし、新天町商店街は見事な復興を遂げ、天神は目まぐるしく発展、いつの間にか九州最大の繁華街になった。コンパクトな街ながらデパートは3つもあり、商業施設が集積。客を奪い合うのではなく、うまく回遊させる。都心界の『天神は一つ』の精神は今もしっかり根付いています。激変に備える時代、こうしたマインドをどう受け継ぐべきか。取材の切り口にしたいと思います。」
セミナーの最後、岩永さんから、新天町の楢崎さんにマイクが向けられました。
楢崎さん「本籍は天神2丁目。生まれも育ちも新天町です。先ほどから新天町の話が出ていましたが、昔お隣の岩田屋さんからパルコさんになるまでの空白の期間など、新天町にも厳しい時期がありました。
都心界は、競争と協調をモットーに一緒に街を商売を盛り上げていこうという団体です。先日も、ソラリアプラザの館長と、パルコの館長と、呑みながら話していましたが、天神はワンチームという気持ちでみんなで創意工夫して街に人が来てもらえるようにしたいと思っています。みなさん、一緒に天神の街を盛り上げていきましょう!」
不安もありますが、天神は一つだという想いをもって賑わいづくりに取り組めば、きっと4年後更に魅力ある街へと生まれ変わっていることでしょう!天神という街の一体感を改めて感じることができたセミナーでした!
と、ここで一旦セミナーはお開きになり、引き続き食事とともに交流会がスタート。各テーブルでは様々な情報交流が行われました。
交流会の終盤には、各社のPRタイム。オカムラさんに、クレアプランニングさんがPRされていましたよ。
↑交流会終了後、ピエトロさんからは、素敵なお土産をいただきました~。
セミナー&交流会のレポートはいかがでしたか?次回はどんな交流会が行われるか、気になる方も多いのでは?是非、次回のレポートにも期待してくださいね。
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2020年03月09日 18:00