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32年の歴史に幕。天神に新しい情報を発信し続けたIMS

  • 天神ビッグバン
  • 2021.7.30

2020年に閉館した『天神VIVRE』、『天神コア』に続き、2021年8月31日をもって『 IMS 』(INTER MEDIA STATION)は32年の歴史に幕を閉じます。金色に輝く八角柱の外観、高さ12mのキラキラした吹き抜け、技術の粋が詰まったスパイラルエレベーター・・・。福岡のみならず九州中からたくさんの人が訪れ、洗練された都会的な空間でそれぞれが思い出を刻みました。
今回は、現在開催中の「大アーカイブ展」の様子と共に、IMS開業時に開発室メンバーとして店舗招致や販促に携わり、その全てを見てきた副館長の大森和香代さんにお話を伺いました。

 




IMS B2Fで開催中の「大アーカイブ展」 ラストの「IMS PAPER」も一日50部限定で配布中!

 


IMSで青春時代を過ごした人、働いていた人、3世代で足を運ぶIMSファン、さまざまな世代の思い出や閉館を惜しむ声がびっしりと書き込まれたメッセージボード。

 


 

●“IMSらしさ“を考え続けた日々

「IMSは元々、福岡市の土地を取得させていただいて始まった事業だったんです。ですから、最初に福岡市の要望として、商業施設として他店と競合するのではなく、この街にアートや文化を根付かせて欲しい、それができる施設にこの土地を使ってもらいたいという大前提があったんですね。IMSはその約束をずっとぶれずに32年続けてきました」と大森副館長。それは、“IMSらしさ”を考え続けた日々でもあったと言います。

まだインターネットが十分に普及していなかった時代、情報都市として福岡が大きく発展する中で、従来のファッションビルやショールームではなく、質の高い情報、新鮮な情報を提供するための“メディアビル”としての使命を担ったIMS。「モノ」を売るだけではない、最旬の「コト」を伝えながら、人々のライフスタイルにまで変化をもたらす、まさに天神のキーステーションでした。

 


「何も買わなくてもIMSに来て、刺激を受けて少しでも元気になって帰ってもらいたい。そのために、私たちが出来ること、求められているものは何だろうといつも考えていましたね。店舗招致に関してだと、東京で成功しているお店でも、福岡で同じ結果になるとは限らない。時には、福岡に合わせてお店の主張を変えてもらわなければならないこともありました。お店との交渉は常に真剣勝負でしたね」。

 

●IMSは時代の最先端
当時、4FにはTOYOTA、NISSAN、SUBARU、MITSUBISHIの自動車メーカー4社のショールームが並び、最新の自動車や未来の車が展示されモーターショーも行われていました。
また、今でこそ環境に配慮した商品や体のことを考えた食品を扱うお店は多くなりましたが、大森さんたちは約20年前から、本場のオーガニックを学ぶためドイツやヨーロッパへ研修に行き、環境問題にも真剣に取り組んでいたのだそうですSDGsやロハスという言葉もなかった時に、一歩も二歩も先を見据えながら、コンセプトでもあった「心とからだの美と健康」を満たす施設づくりを考えていたのがIMSでした。



エスカレーター横の各階には、歴代のIMSポスターを掲示

 

●IMSが天神に与えた影響

6Fでは創刊時からの「IMS PAPER」がずらりと並ぶ。これに憧れてクリエイターを目指した若者も多かった

「IMSができて以降、知的好奇心を満たすために天神に足を運んでいただくお客様が増えたように思います。天神の魅力の一つとして、それぞれの商業施設が競合するところと、強みを上手に住み分けていたところがありました。IMSはアルティアムやイムズホールを軸にカルチャーや最新情報など新しい“コト探し”の役割を担っていたと思いますね」と大森さん。
さらに、「IMSは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の次に続く体験できる5番目のメディアだと考えていました。また、様々な才能を発掘し、場所を提供し、育てることもIMSの大きな役割の一つでしたね。閉館は、そんな人たちの発表の場が一つ減ること、やはり寂しく残念な気持ちはありますね」。

 

天神にIMSが加わったことで、街が洗練され成長し、各施設が切磋琢磨しながら高いレベルで競争出来るようになったと大森さんは言います。その中で、必要な情報を共有しながら連携をすることも増え「みんなで天神をよくしよう、もっと魅力的な楽しい街にしよう」という動きも活発に。
お互いをリスペクトしつつ、競争から連携の時代へと歩んできたことも、天神の大きな変化と言えるのかもしれません。

 

●天神ビックバンの先の未来

IMSの閉館と同時に退職をする大森さん。新しく建て変わる予定のIMSやこれからの天神に期待することを聞いてみました。「この2年で働き方は大きく変わりましたし、在宅で仕事をすることも多くなりました。それでも街は、自分だけでは埋められない何かを求める場所であって欲しいです。個人的には、自然と調和しながら、効率化だけではない余裕や余白を楽しめるような街になるといいですね。また、IMSが今まで担ってきた文化の発信地となるような場所は天神に残してほしいな〜。これからは、女性ももっともっと前に出ていかなきゃいけないし、行政に任せるだけでなく、私たちは市民として意見を出し街づくりに積極的に参加しなくてはならないと思いますね」

 


大森副館長がIMSで一番好きだった場所、B2Fから見上げたキラキラ光る吹き抜け


●32年間 ありがとうIMS!

アーカイブ展に設置されたメッセージボードには、一人ひとりの中にあるそれぞれの『IMS』の思い出がびっしりと書き込まれ、たくさんの人の“IMS愛”が溢れています。
世の中の仕組みが大きく変化する中で『IMS』も新しく生まれ変わります。
新しいドラマが生まれる街、天神へ。
ありがとうIMS! 『天神ビックバン』の先の未来にご期待ください!

※掲載中の新聞記事は「大アーカイブ展」掲載の展示物より抜粋しました。

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