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再開発のヒントは余白!?福岡移住計画 代表の須賀さんに聞いてみた。

  • 天神ビッグバン
  • 2022.5.27

福岡移住計画を立ち上げ、シェアオフィスの「HOOD天神」や「SALT」古賀市にある温泉施設「快生館」などを手掛ける(株)SALTの代表 須賀大介さん。10年前に東京から福岡に移住し、今では福岡をはじめとした各地で様々な事業を展開しています。
天神ビッグバンとして開発中の天神と、東京や地方都市―。外と中の双方からの視点を持ち合わせ、まちづくりも携わる須賀さんに“天神のまち”について伺ってみました。

 

――東京で起業された須賀さんが移住した理由を教えてください。

20年前に渋谷で起業しました。当時はIT企業が渋谷で生まれる熱狂的な時代で、そこで会社をスタートさせました。東京は人もモノも集約されていて、ビジネスには刺激的で頑張るほど成果が出たと感じています。一方でコストが高く、それに見合う仕事量をこなさなくてはならず、ライフを削りながら仕事していました。

会社を設立して7年目にリーマンショックがあり、乗り越え回復した時に、今度は東日本大震災が起きました。命すらも奪われてしまう自然災害が身近にあると感じ、生活を削りながら仕事をしてきたことに疑問を持ちました。子どもが生まれたばかりの頃でより自分に突き刺さりましたね。

幸いIT企業だったので、インターネットに接続していれば仕事はできます。そんな業種であるからこそ、柔軟な働き方(場所にとらわれない、ネットワーク型でお互いを活かし合うこと)ができないかという構想が生まれました。

 

――移住先に福岡を選んだのは?

自然の中で子どもを育てたいと思っていて長野や山梨を考えていたのですが、はじめて福岡を訪れた時に都市と自然とバランスがとれているのが魅力的にうつりました。美しい風景の中で人々の表情が幸せそうに見えたのが印象的で、幸福度の高い街だと思いました。福岡の人たちは地に足を付けて、土地の豊かさを享受しながら暮らしているように見えました。

 

――須賀さんは天神で「HOOD天神」を運営していますが、天神のまちについてどう思われますか?

人をつなぐまちだと感じています。天神があるから周辺の自然環境が生きている。一対になっていると思います。人が単純に集約されているだけでなく、場所も、起きていることも、人と人との関係性を大事にしながら価値を生み出しているまちですね。だからこそ、僕たちのような移住者や、福岡で実績がなかった会社と、地元企業や行政が一緒に事業をしてくれています。ほかのまちではないことだと思いますね。

 

――なぜ地場企業や行政機関は須賀さんに事業を依頼されたのでしょう?

地元の出身でもなく、外からやってきた人間で、俯瞰した目でまちの良さなどを見ることができ素直に行動ができました。行動力やまちのポテンシャルを見る目に期待してもらったのだと思います。

 

――天神はいま、再開発の真っ只中です。まちを歩いて“カルチャー”を感じますか?

地方都市の中では福岡の人は感度も高く、オシャレだし、素敵なものが好きなので、福岡にしかないカルチャーで、まちと結びついたアートがある気がします。東京と比べたら量的には少ないかもしれませんが、独自性を磨くことでアーティストがまちなかでも、もっと表現できるようになると思います。

アートやカルチャーは都市の密度と関係するところがあります。天神ビッグバンでまちの密度を上げる開発が行われていますが、密度を上げ過ぎると余白がなくなっていくんです。余白がなくなるとカルチャーは死んでいく・・・・・・。そのバランスをどうとっていくのかというのが天神ビッグバンで期待するところで気になります。

 

――天神ビッグバンのポイントは余白なんですね。

もちろん、ビジネスシーンを成長させるのが中心ですが、面白いまちにするためには新天町や水鏡天満宮横丁のような存在との共存ができればいいと思っています。バランスよくやってるのが台湾で、リノベーションも上手。新しい街並みと旧い街並みのコントラストが調和しているように見えるんです。経済的な成長だけでなく、人間の豊さは余白で生まれると思うので、余白を残してどう経済を成長させるかというのを見てみたいですね。

 

――これからの天神に期待したいことはありますか?

外からの投資があることで新しい人たちが来られ、天神が大きく変わっていくタイミングだと思います。これまで培われてきた天神の良さが、新しい人たちが入ることで、さらに新しい天神として生まれたら良いですね。そのためには、外から来た人と地元の方が混じり合う必要があります。単純に床を借りて仕事をするだけだと融合しません。対話をしたり、仲間になって一緒にやろうぜという場がないと新しいことは生まれないと思います。交流できる場所や機能をまちにどう落とし込んでいくか・・・・・・。天神は今までもそういった機能があったので、それを失わずブラッシュアップしていく必要性があると思います。

 

――最後に、これから天神で働く人たちへアドバイスをもらえますか?

天神はアジアにも近く、九州の中心で経済的に優位性が高いまちです。人と人との距離感や、天神と周辺地域の豊かさ、これらを享受できる世界的に見ても稀有な都市の1つだと思います。豊かさを楽しみながら働いて欲しいですね。
豊かさを感じながら働くと、自分の中で余白を生んで、余白の中でアイデアやまちへの還元・循環を考える人たちが増えていくのだと思います。経済面だけだと生まれてこないので、たくさん仕事をして、たくさん天神で遊んでください。そして、周辺地域の豊かさを感じ、余白を作りながら働いていただければ。

 

【プロフィール】須賀大介
1976年水戸市生まれ。(株)SALT代表取締役。福岡移住計画代表。26歳の時に渋谷でIT・WEB制作の会社を起業。10年後の3.11をきっかけに働き方を見直し、東京から福岡へ移住。その後福岡に本店を移し、在籍スタッフはフルリモートワークや、分散型の働き方を実践。人と人、人と企業、人と地域をつなぐ。現在福岡と東京で5拠点のコワーキングスペースと、空き家等を活用した10棟の宿泊施設を運営している。本拠地は福岡市西区今宿にあるSALT(http://salt.today)。昨年10月に九州最大の社労士法人アドバンスグループの(株)HonProの取締役にも就任し九州から新しい働き方、暮らし方のカルチャーを発信するというビジョンを深めている。

(コロナを経ての変化)
コロナを経て自身の感覚は大きく変化した。改めて自分が住む、あしもとの地域の自然や資源に向き合って暮らしていきたいと考えている。これからさらなる不況や、自然災害も増え、社会変化はさらに激しくなる。そんな中で、自分らしく暮らすこと、スタッフと共に持続的に乗り越えていくことそのための実践活動を増やしていく。
アウトドアを取り入れたライフスタイルはインスタで発信中。(https://www.instagram.com/yamakawaumidaisuki/

 

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